畳のよしあしを決めるもっとも重要な芯材であり、機能性や性能を決定づける最大のポイントとなる畳床。
その素材は大まかに3つに分けられます。
(1)昔ながらの稲わらが原料としたもの
(2)畳ボード(木材チップ)を使ったもの
(3)ポリスチレンフォームを使ったもの
それぞれ使う環境や求める性能によって多様化しています。
(1)稲わら | ||
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昔ながらの天然素材。わらを何層にも積み重ねて圧縮してつくるため、耐久性、調湿性、断熱性、保湿性に優れています。とりわけ調湿性に優れ、足で踏むとふわっとしたソフト感があります。また吸音・防音効果も備えており、張替えを繰り返しても寿命が長いのも特徴。しかし1枚で30kg強と、新建材と比べて重いのが難点です。 |
(2)畳ボード | ||
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木質系の原料から畳用につくられた「畳ボード」を数層重ねて床を作成しています。最近では、解体された古い木造建築や廃木材などの再生資源を繊維化したボードが多数出ており、環境にやさしい「エコロジー素材」としても注目を集めています。このほか、耐久性、調湿性、吸音性、衝撃吸収性などに優れていますが、稲わらと比較するとそれほど有利というわけではありません。 |
(3)ポリスチレンフォーム | ||
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畳ボードと発砲樹脂系の素材「ポリスチレンフォーム」を重ねた新建材。断熱性に優れ、しかも軽いのが特長。衝撃性や遮音性にも優れており、現在流通している畳の約7割を占めます。 |
メリット | デメリット | |
稲わら |
・耐久性、調湿性、断熱性、保湿性に優れている ・わらの持つ吸放湿性が室内の環境改善に適している ・リサイクルや焼却処理に適している ・張替えを繰り返しても寿命が長い |
・密閉された近年の住空間では、ダニやカビが生じやすい ・建材畳床と比較して重い ・職人技術に品質が左右されやすく、品質にばらつきが生じやすい |
畳ボード |
・大量生産が可能なため、同じ品質の商品が納入できる ・軽量で工事の作業効率がアップする ・再生資源を使ったエコ素材のボードも出ている |
・稲わらと比べて、耐久性、調湿性、吸音性、衝撃吸収性、耐用年数に劣る ・工業製品のため、リサイクルに課題のある商品も多い |
ポリスチレンフォーム |
・稲わらや畳ボードと比較しても軽くて丈夫 ・現在、畳流通の7割強と圧倒的なシェア ・安価で同じ品質の商品が納入できる ・断熱性に優れている。 |
・踏んだ感触が硬い ・稲わらに比べ耐用年数が短く、湿度調整も劣る ・ポリスチレンフォームのリサイクルの課題 |
ライフスタイルの変化に合わせて、従来の機能性をさらに高めた畳床が多くなっています。
例えば、フローリングに敷く様式で畳床が薄いタイプ。バリアフリーの観点からも重宝されます。
また、竹炭を組み入れることで脱臭・殺菌・調湿効果を高めた畳床、ヤシの実繊維を使ったダニ・カビに強い畳床など、あらゆる需要に応えるため、畳床も進化し続けています。
中心に竹炭が入った峰丈紋畳
「おや炭くん」